母のお土産に、粕漬けの魚を買ってきた。
迎えに来てくれた母との会話で「大吟醸の粕漬け、買ってきたから今晩焼いて食べよう」というと「ええっ、粕漬けを焼くの?」という頓珍漢な返事になった。
もう一度説明すると「ええっ、魚も漬けるの?」と驚く。
「食べたことがない」という。
嘘だ。
絶対、覚えてないだけだ。
だって、温泉の朝ご飯の付け合せに良く出るもん。
ただ「切り身」としてしか食べないから覚えてないだけだろう。
そんな彼女の頭に浮かんだ「粕漬け」は「きゅうり」だった。
もしくは大根か。
それを「焼く」ということで驚いたようだ。
先日、私が「酢の物」という言葉で「モズク」しか浮かばなかったことを思い出して「親子だなあ」とつくづく思った。
お互い、安い食材しか頭に浮かばない・・・
かつて、うちに来る漬物は大抵、ゴミ箱行きだった。
大体、甘いものが好きで、ハンバーグやカレーライスのように濃い味の西洋メニューが好きな父親の好みに偏っていた家庭で、漬物の味は全く理解されなかった。
たまに出てくる漬物もビニールパックから出されるものだから、おいしい訳がない。
体験というのは恐ろしい。
旨いと思わなければ買わない。
だから、そんな調理方法があることも知らないで育ってしまう。
私はたまたま自家製のおいしい飯鮨や粕漬けを食べる機会があったから学ぶことができた。
母は今、味の違いを学び始めている。
彼女は食べることを楽しみ始めてずいぶん変わった。
食べることは、生きる価値観を決める。
少なくても、食いしん坊はそう信じている。
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