うまいりんご、うまいうちにどうにかしようと思っても、選択肢があまりない。
思いつくのは干すかジャムにするかだ。
以前からおやつに干しりんごがいいなあ、と思っていたが、あまりに値段が高くて買わなかった。
これはいい機会だ。
フードドライヤーを持っているので一晩で作れる。
ごしごし洗ってから半分にして薄切りにする。
商品化されているやつはきれいな輪切りが多いけど、自分で食べるんだから形なんてどうでもいい。
次の朝、見事な干しりんごの完成だ。
でも、薄く切りすぎたやつはトレイにへばり付いている。
ぜんぜん、取れないっ。
失敗した。
干すんだから「薄く切る」のは当然だけど、ある程度厚みがないとだめだ。
ゴムベラで無理やり剥がしたら、ばらばらになった。
紙ふぶきの破片にしか見えない。
きれいな「輪」になった干しりんご、値段が高い訳だ。
あの商品の影には、たくさんの壊れた干しりんごがあるに違いない。
で、破片を食べた。
めちゃくちゃ甘い。
砂糖なんて何にも使ってないのにりんごの甘みが凝縮されている。
これは美味い。
ポテトチップスみたいな感覚で食べられる。
止まらなくなりそうな危険な食べ物だ。
でも、たくさんできない。
ドライヤーには5枚のトレイがあるが、3個分が限界だ。
母に味見させれば、たぶん気に入るはずだ。
うまくおだてて、作らせよう。
美味しいものを食べるには、手間がかかる。
市販されている干しりんごの値段、決して高いものではない。
自分で作ると良く分かる。
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