2020年4月3日金曜日

甘味の誘惑

シェフとよく食べ物の怖さを話した。

ファーストフードの値段の安さには理由がある。
食材となるブラジル産チキンが、何を食べているのか、どんな環境で育てられているのか、出荷を短縮するために何が与えられているのか。そんなことを知っていれば、外食はもちろん、スーパーで食材を購入する時だって値段以外の情報を確認するようになる。

シェフが店で使う素材は、信用できた。何故なら、シェフを信用していたから。

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2019年2月17日
東洋経済に「太る原因の7割は、遺伝で決まるが、残る3割は自分でコントロールできる」という記事があった。じゃあ、どうやって?となるとキーは「甘味」の量だそう。炭酸飲料と甘い間食を減らすことで、体重増加を予防した実験報告が一緒に載っていた。

でも、これは別に新しい話じゃあない。そもそも、砂糖の中毒性については、もう40年以上前から広く知られている話だ。依存性は、コカインより強い、という人もいる。違法か合法か、数的証明があろうがなかろうが事実は変わらない。

20世紀が始まる前に、一人の薬剤師が作ったコカ・コーラ、戦後70年瓶入りから缶で飲めるように手軽になった頃には砂糖の大量消費の時代に突入した。十勝だって1960年代に砂糖自由化になった今だってビートは基幹作物の一つだ。

ただ、もっと安く食べ物を作るためには砂糖は値段が高すぎる。そのために大企業はその300倍、800倍甘い人工甘味料を使って炭酸飲料を世界中に売りまくった。そもそも、カフェインと甘味だ。砂糖の中毒性とは比べ物にならないほど強い。

365日、毎朝ダイエットコークをコーヒー代わりに飲んでいた知り合いは10年以上それを止められなかったが、結局、乳がんで50にならずしてこの世を去った。

「儲ける」ことを「発展」と考えた経済活動の結果、世界は肥満と糖尿病が蔓延した。
医療費が国家を食いつぶすようになってようやく社会は「予防」なんて話をしているが、もう焼け石に水だ。
大量消費の文化を作り上げ、甘味中毒者、しかもその2世、3世まで生まれている以上すでに手遅れだろう。

人口甘味料が安いなら使われるのは炭酸水だけじゃない。安くて美味しいと感じるほとんどの食べ物には入っている。遺伝子組み換えのコーンシロップ、製造禁止にしたら暴動が起きるだろう。

だから、消費者が賢くなるしかない。

だから、買わない。

買う時は、原材料を読む。
料理は、信頼できるところで食べる。
そこには衛生観念はもちろんだが、それ以上に料理に対する考え方を重要視する。

ここのシェフは、何でも「お手軽な時代」に逆行し、手間をかけて料理する。

「料理人が「めんどくさい」と言って技術を使わなければ、素材と同じように腐ってゆくだけだよ。」と言い切る。

広告や写真に踊らされて「流行っているから食べてみたい」というのも理解できる。
でも、財布を開く前にちょっとだけ考えて欲しい。

買うことによって、どんな会社を支えるのか。
広告を信じて、新しい食べ物を買い続け、食べ続けた結果、自分の健康がどうなるか。

「買う」ということは、その考えを支えることだ。

お手軽なペットボトルや缶ジュースしかり、ファースとフードしかり、大企業を支えているのは消費者一人一人なのだから。

食に対しては影響力が薄い私の理性、この点だけはどんな食べ物を目の前にしても、食欲を制御できている。今のところは。

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シェフが居なくなって、彼の持っていた技術も消えてしまった。
でも、この「技術も使わないと腐る」という考えは、永遠に続いて欲しい。消費者が、お手軽と安さを選び続けた結果が、今の環境や健康問題に繋がっているのだから。

マイクロプラスチックや糖尿病のように、消費し続ける結果はいずれ自分に返ってくる。

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