パン粉がないことも知っていた。
だから、食パンを買って作った。
今晩どうしてもコロッケを作る必要があった。
ただ、油があんなに足りないとは思わなかった。
フライパンに入れてあまりの少なさに愕然とした。
でも、どうしても今作る必要がある。
店までとても買いに行く元気なんかない。
夜も遅い。
外は雪が降っている。
仕方が無いから、泣く泣く値段の高いオリーブオイルをぶち込んだ。
それでもコロッケがようやくかぶるくらいだ。
しょうがない。
油を熱くしてコロッケを入れる。
上はうっすら油に浸っていない。
下部が固くなった頃、ひっくり返した。
そうしたら、中身が飛び出した。
もう、ひとつは飛び出さなかったけど端がだんだん崩れてきた。
まだ、油とコロッケの区別はつくが、それも時間の問題だ。
応急処置ができるわけでもなく、そのままだましながら揚げて取り出す。
中身が飛び出したコロッケ、まるでコロッケ型の携帯カバーみたいになってしまった。
冷凍できないから食べたら、ものすごくうまい。
そもそも、揚げたてのコロッケにまずいものなんてあるはずがない。
しかも、オリーブオイルで揚げているんだから。
で、中身が見当たらないが、とりあえず終わらせて油の処理をした。
底の方から黒い揚げかすが出てきた。ほとんど粉末だ。
なるほど、これが中身か。
お弁当用のてんぷら鍋が小さくて深い理由がようやく分かった。
揚げる食材が油に全部浸かっていないと失敗する。
だって、半分しか浸かってないと、裏表で温度が違うんだから、そりゃあ、崩れるわ。
とりあえず、おいしいから、まあ、いいか。
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