女性がドレスアップすると印象が変わる。
料理もドレスアップすることで、味の変化が楽しめる。
そんなことを教えてくれたのはこの一皿だった。
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2018年12月09日
先日、コースディナーを食べた時、HPの撮影の時に使ったフォアグラのテリーヌが出た。しかも、ドレスアップされている。
黒っぽいソースが散らされて、おもいっきり正装したテリーヌだ。
シンプルなテリーヌも感動的だったが、このおめかししたテリーヌもまた極上な一品だった。
このソース、バルサミコ酢(もちろんそれだけじゃあない)を使っているらしい。
テリーヌにはイチジクが使われているので、その甘味にソースの酸味が口の中で絡む。
添えられているほんの少しのグリーン(サラダ野菜)を一緒に食べれば、ちょっと軽めな味になった。
テリーヌだけでも、3,4種類の味が楽しめる逸品なのに、ソースあり、付け合わせあり、だと、一皿を食べ終わるまで、いくつもの味を楽しめた。
その一皿がオードブルに出てきた時、私は感動で一瞬、声が出なかった。
「恍惚のテリーヌ、再び」なのだから。でも、一緒に来た友人はまだこの味を知らない。
しばらく会わなかったので、お互い話が止まらなかった。でも、私が止まった。
しばらくその皿の美しさを眺めている間も、友人は話している。
そして、お互い一口食べて、無言になった。
それから、たっぷり3分は何も話さなかったと思う。
そりゃあそうだ。単純に、味わうことに忙しくて頭なんて働かない。私はまだ余裕があった。2回目だもん。シェフにフォーマル版で使っているソースの話とかを聞きながら味わっていた。
シェフとの会話もまた素敵な料理の香辛料だ。
でも、その間、友人はずっと無言だった。
しばらくして息を吐きながら「これ、美味しい」と一言。
ファッションと違って、レストランのカジュアルとフォーマルの違いなんて、楽しみ方の違いでしかない。どんな形で提供されても、美味しさに変わりない。
そして、その一皿から与えられる感動は、食べる度に新鮮だ。
増えてゆくのは、食べたい欲望と体重だけ。だめだ、理性を働かせないと・・・・。
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テリーヌは作るのが大変である。一切れだけ作れないし、高価な食材が必要だし、ある程度お客様数が期待できないと儲けに繋がらない。
よく「お客様が料理人を育てる」と言われるが、本当にそう思う。技術は使ってこそ磨かれる。でも、作る機会がなければ上達する訳がない。
家庭でも、レストランでも、お互いに「評価」するんじゃなくて「感謝」すれば、きっと世界は少し良くなるじゃあないだろうか。
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