クリスマスを前に、コースメニューの在り方をシェフと話していた。
コースの内容をメニューで詳しく説明してしまうと、その食材が高くても準備する必要がある。
お客様が食べたいものは、シェフが作る「美味しい料理」であることを伝えたくてこのブログを書いた。
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2018年11月20日
私の母が作る料理は、14種類程度しかない。
子供から高校まで、この14種類のどれかが食卓に上がっていた。
どれひとつ、夕食が待ち遠しくなるような味ではなかった。
こんな食生活だったから、食事の時間が楽しみだったことがない。
しかし、高校の頃、チキンの酒蒸しが、15種類目にして登場した。
それが、予告なく夕食に出た。
母は、圧力鍋を買ったから、付帯していたレシピ本をみて作ったらしい。
その時の美味しさと感動は今でも覚えている。
情報が無いからこそ与えられる感動があることを、その時に知った。
情報が溢れている今の時代、WEBでメニューの中身が「判るから」
その店にゆく、という人も多いだろう。
でも、私はフレンチのコースならメニューの中身が「判らない」方がいい。
高いコース料理を食べるならたしかに、苦手なものは食べたくない。
でも、それは同時に新しい味や感動に出会うチャンスを放棄することになる。
知っている味を食べるのは確かに安心するけど、
知らない方がワクワク、ドキドキする時間が過ごせる。
安心な「食事」は自分で作る夕食でいい。
だから、コースを食べるなら、安心より「発見」や「感動」したい。
だから、驚くのは値段以外、大歓迎だ。
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シェフも同意してくれて、コース料理に細かい説明をすることを止めた。
コース内容と価格を変えたコースを3つほど作った。
結局のところ、お客様はシェフの料理を食べに来ていたから、何の問題も起きなかった。
レストランでコース料理を食べるのは、確かに安くない。
でも、その料理を作る人を信じているからこそ、そのレストランに行くのだろう。
だから、食べログのコメントのように、コスト効率だけでレストランの料理を評価する仕組みに対して、違和感を覚える。
もっとも、彼のレストランが無くなった今、わざわざ行きたいと思うレストランもほとんど無いけれど。
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